【第16号】 貯徳問答塾にて・・ |
こんにちは、鬼頭宏昌です。
最近、日本一の大投資家であられる竹田和平さん
が、貯徳問答塾という塾を開催しています。
私は竹田和平さんを大変尊敬していることもあり、
参加をさせていただいておりますが、先日のテーマは
「信と理」の真実は何か?
と言うものでした。
そのテーマに関して、昨日、私は自分の見解を思うが
ままに書いて提出しました。
その内容を、改めて読み返してみましたが、経営者様
にとっては、それなりに有益な情報かもしれないと感じ
ました。
そこで、メルマガでも紹介させていただこうと思い、お送り
させていただいております。
(以下、私の見解です)
信と理について、思いはせたことを書きます。
私は以前、外食チェーン企業のオーナー経営者
をしていました。
ちょうど1年前に、株式譲渡で事業売却をしてい
ますので、今は違う仕事をしています。
売却時の会社の規模は、店舗数20店舗・年商
20億円ほどの会社でしたので、名古屋市内では
中堅の居酒屋チェーンでした。
父親の経営する年商2億円の赤字会社を25歳で
引継ぎ、6年間で年商20億円程度まで成長させた
わけですが、実は上場を目指していた時期もありま
す。今から、3年くらい前でしょうか・・
そんな時期に、多くの証券会社の上場担当者や
ベンチャーキャピタルから、かなり高い頻度で受けた
質問があります。
それは・・・
「鬼頭さんは、飲食店経営の本質をどのように捉え
られているのでしょうか?」
と言うものでした。
その問いに対して、私は必ずこう答えていました・・
「太い理念を必要とする、システム構築産業です」
「??????」
と思われたかもしれませんね。
飲食店はサービス業ですので、接客や料理を本質
だと捉える方が多いと思います。
また、ピープルビジネスとアメリカで呼ばれることから、
人材教育こそが、飲食店経営の本質であると捉える
経営者も多いはずです。
いずれも間違ってはいませんし、事業を成功させる
ためには必要なことです。
しかし、総店舗数が10店舗を超えて30店舗以上を
目指すのであれば、本来、水商売と呼ばれる飲食店
の経営を、システム化しなくてはいけません。
もちろん、システム化せず多店舗化を図る企業のいく末
は、倒産しかありません(もしくは大幅な店舗縮小です)。
システムが無くては、3店舗の繁盛店を作ることは出来
ても、15店舗以上の外食企業を作ることはできません。
事業の発展は、「システム構築」を抜きには不可能なのです。
ちなみに、飲食店にとっての「システム」とは・・・
料理に関しては、セントラルキッチンの運営やレシピ作成
教育のシステム、調理器具の開発等をさします。
出店に関しては、ROIを満たすために必要な商圏人口
や交通量や購買人口と呼ばれる、出店用地のスペック
基準の作成。
(もちろん、立地開発は経験がものを言いますので、足が棒
になるまで歩き回り、好立地を探す必要があります)
また、接客に関しては、マニュアルの作成やトレーナーの
育成、オペレーションシステムなどがあたります。
このように、事業を成功に収めるために必要なもので、シス
テムになりうるものは、全てシステムに落とし込んでいきます。
ところが・・・
いくらシステムを組んだところで、店舗を運営する人間に心
や氣が無ければ、経営は上手くいきません。
ご自分で経営をしたことがある方は分かると思いますが、
社員との心の絆は何よりも強い力を生むものなのです。
そして、その人間の心をまとめるのが、理念であり、経営者
との信頼関係であるわけです。
すなわち、「理念の浸透」と「ビジネスのシステム」が、車の
両輪のように回って初めて、事業を成功に導くことが可能に
なります。
それはすなわち、本問答の題目である、「信と理」そのもの
だと思うのです。
信とは人の心をまとめるものであり、理とは事業や日々の
活動を動かしていく仕組みです。
理に関しては、ルールと言い換えてもいいのかもしれません。
いずれにせよ、「信と理」の2つがそろって初めて、事を為す
ことができると思うのです。
逆に言えば、いずれか一つでは、事を成すことはできないと
いえます。
私たちは現実社会の中で生きる人間です。
この現実社会には、現実社会のルールが存在します。
そのルール(すなわち理)をキチンと把握して、その中で、たく
ましく結果を出していく人間が、社会から尊敬を集めるのだ
と思います。
もちろん、目には見えない大きな力は存在します。
そして、目には見え無い世界には、その世界特有の「理」
が存在すると思います。
その「理」を知り、取り入れていくことは必要です。しかし、
同時に現実社会の「理」を学んでいかないことには、この世で、
結果を出すことはできないのではないか?
というのが、この問答の本質ではないかと私は理解しています。
大変尊敬する経営者の方が、私に言った言葉があります。
「いいプロセスがあれば、良い結果が出るとは限らない。
しかし良い結果には、必ず良いプロセスが存在する」
もちろん、プロセスとは「理」であります。
やはり、「理」だけでは成功はできません。
しかしながら、成功するためには「理」が必要なのです。
(以上)
といった、回答をさせていただいたわけですが、このように
「システムと理念」(もしくは「心と科学」と言い換えてもいい
かもしれません)の両方がないと経営は上手くいかないと
思います。
最近、スピリチュアルブームです。
たしかに経営活動において、心のあり方は大切です。
しかし、同時に経営理論も学んでいかなくては成功を収める
ことは不可能であると思います。
現実社会に適応できず、また、事業が上手くいかないこと
に対する現実逃避から、精神世界にのめりこんでいく人は
決して少なくはありません。
私は、出家して瞑想に耽ることよりも、この現実社会で揉ま
れることのほうが、はるかに人生の修行になると思っていま
す。
経営をしていれば、苦しいときもありますし、儲からないときも
あります。しかし、あきらめずに戦っているうちは、必ず希望
の光は差し込みます。
「夜明け前が一番暗い」
いろいろな情報が錯綜していますが、日本経済は確実に
上向いてきています。
景気回復の恩恵が外食産業にまで広がるのは時間の問題
です。
こんなときこそ、強気で経営する必要があるのだと思います。
追伸:
メルマガ読者の皆様はもう私の著書は読まれましたか?
「小さな飲食店成功のバイブル」(インデックス・コミュニケーションズ)
コチラ→http://www.f-connect.jp/book.html
元アマゾンのカリスマバイヤーである土井英司さんは、この
本を飲食店の本ではなく、経営書として、従業員の方に必読
させていると聞きました。
飲食店経営者の方はもちろん、全てのビジネスマンに一度は
読んでいただきたいと思っています。
また、4月下旬に2冊目の出版が確定しました。
タイトルは「小さな飲食店 真実の店長バイブル」に決定
しました。
この本も飲食店の本となっていますが、内容は全てのビジネ
スマンにとって有益な情報満載だと思います。
発売の際はよろしくお願いいたします。
いつもお読みいただき本当にありがとうございます。
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