【第4号】 事業をおこなううえで、最も重要な概念A |
■鬼頭式経営術。第4号では第3号と連載で
▼事業をする上で、最も重要な概念
をお届けします。
第3号を読んでいない方は
バックナンバーを公開していますので
先に読まれることをお勧めします。
それでは本日の鬼頭式経営術お楽しみください。
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<今日の鬼頭式経営術。>
【 事業をする上で、最も重要な概念 】
〜 売上 − 経費 = 利益 (その2)〜
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■さて、簡単に前回のおさらいをすると
私は超有名ラーメン店とライセンス契約を結び
郊外に家族で行けるような
ラーメン店としては大型の店舗を出店しました。
最初の一ヶ月は大盛況であったものの
売上がジリ貧となり、ついに赤字転落。
こうして会社一の問題事業が誕生しました。
■なぜ赤字になったのか
▼売上 − 経費 = 利益
の公式で考えると、売上が小さいのか
経費が大きいということになります。
決して「ラーメンビジネスが難しい」からではありません。
よって、売上以下に経費を抑えることができれば
利益が出て事業として成立します。
「そんなの当たり前だ」と突っ込まれそうなのですが
仰るとおり、たったそれだけのことなのです。
私は経費を小さくすることを考えましたが
店の規模が大きかったために削減できる経費に限界があり
この店では利益転換できないという結論を出しました。
■そこで、この店は一日でも早く閉店し
今度は都心で小型店を出すという意思決定をしました。
小型化する理由は、人件費・家賃・光熱費など
あらゆる経費を大幅に小さくすることが出来るからです。
もう一つの小型化する理由は、ラーメン店は規模に関わらず
同じような売上になることを見抜いていたからです。
特に高単価のグルメラーメンほど
このような傾向があることがわかってきました。
また、郊外ではなく都心部にした理由は
志向性の高いラーメン店のラーメンは
好き嫌いが激しいうえに高単価ですので
リピート率がチェーン店の低価格ラーメンと比べ低く
商圏人口の多いエリアじゃないと
集客がままならないのではないかという仮説に基づいたものでした。
■すなわち、店を小型化すれば、売上はそのままでも
経費を大幅に小さくでき、今と同じ売上でも利益が出る。
という至極単純なロジックです。
このことを社内でプレゼンしたとき
「お前の考えは、博打の損を博打で返すのと同じだ!」
と、激しくののしられました。
しかし、私はあきらめず、粘り強く説得を続け
オープンにこぎつけました。
結果は大成功!
当たり前です。
その後、この事業を本格的に展開する前に
会社を売却してしまいましたので
チェーン展開を自らすることは出来なくなってしまいましたが
続けていれば、投資収益率の観点から見ても
それなりの規模の事業に育っていったと確信しています。
■この実例から、売上より経費が小さければ事業になる
という本質を理解することの重要性がわかってもらえたと思います。
大多数の人は、難しく考えすぎるか
どうでもいい枝葉のことばかりを考えるため
本質を見失い、事業を育てることができないだけではないでしょうか。
また、赤字などのピンチに陥ったとき
次から次へネガティブな考えが頭に浮かび
正常な判断ができなくなるということは
現実の経済活動の中で、本当に良く起こることではないでしょうか。
■最後にひとつだけ、注意してほしいことがあります
経費の中でも削っていい経費と
削ってはいけない経費があるということです。
削ってはいけない経費というのは
会計上のルールで経費として処理されているが
その実「投資」である類の経費です。
極端に言えば、「削減したら売上も減ってしまう経費」です。
最もわかりやすいのは、広告宣伝費でしょう。
広告宣伝は、掲載額に対して粗利益が上回っているかぎり
やめる必要はないと考えています。
回収率が良くないからと、やめてしまうと
売上が減ることで、逆に利益率を圧迫する結果を招きかねませんし
最悪の場合は損益分岐点を下回り、赤字ということも有り得ます。
また、飲食店であれば食材原価の削減も慎重に行う必要があります。
顧客満足度が下がり、売上低下を招く恐れがあります。
売上高に影響を与える可能性の高い経費に関しては
単純に削減すればよいということもありませんので注意してください。
▼この経費は単なるムダなのか? 実は投資なのか?
という問いかけが経営判断そのものです。
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<あとがき>
連載でお届けした、「事業をする上で、最も重要な概念」
いかがでしたか。
実は先日読者の方からメールをいただきました。
まだ創刊4号のメルマガにも
こんなに真剣に読んでくれる読者がいるのかと
感激してしまいました。
これからも、できるだけ有益な情報をお届けできるように
毎号精一杯の努力を続けたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
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掲載しないで・・・という場合は一筆お願いします。
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